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健康コラム

女優
秋吉久美子さん

Kumiko Akiyoshi

1954年、静岡県生まれ。女優。72年松竹映画『旅の重さ』(斎藤耕一監督)でデビュー。74年に藤田敏八監督の映画『赤ちょうちん』、『妹』、『バージンブルース』に出演し、第11回ゴールデンアロー映画新人賞受賞。数々の作品で美術選奨新人賞、アジア映画祭主演女優賞、毎日映画コンクール女優演技賞、日本アカデミー賞優秀主演女優賞等、多数受賞。09年に早稲田大学政治経済学術院大学院公共経営研究科を卒業。映画、テレビドラマ、舞台に多数出演し活躍中。

8月11日公開の映画『「わたし」の人生(みち)〜我が命のタンゴ〜』で、父の認知症に直面する女性を演じた、秋吉久美子さん。 介護の現実にぶつかり、打ちのめされそうになりながらも希望を見出していく秋吉さんの姿が共感をよぶ感動作です。そんな秋吉さんに、今回の作品や、私生活について伺いました。

―今回、認知症の介護をテーマとした作品に主演されたご感想をお聞かせください。

 認知症やがんといった重病に直面すると、まるで思いがけぬ事故にあったように思ってしまいがちですよね。でも、そういう現実はだれにでも訪れることで、宿命のようなものだと感じています。宿命であることを知らずにいるところに、そうした事態が突然訪れるのは、やっぱりつらいことだと思いますね。

―作中で、自身の夢と、介護との間で板ばさみになり悩む姿が印象的でした。秋吉さんご自身も、ご両親のがんに直面されたご経験がおありですが…。

 板ばさみというよりは、〝嵐の海の中のイカダ〞という感じでしたね。波にもまれ、もう、風を気にしたらいいのか、雨を気にしたらいいのか…。作中では百合子(秋吉さん演じる主人公)がひとり泣きながら歩くシーンもありますが、ああいった心情は、介護のさなかにあれば、常にあると思いますね。
 精神的にも肉体的にも大変だし、倫理的な判断も難しい。手術をして少しでも長く生きてもらうのか、本人の充実した生活を優先するのかとか、難しい決断を、周囲から批判を受けながらもしなければいけない。病室で一晩中介護をしたあとでも、仕事に行かなければならない。介護をする立場の方も、本当に大変だと思います。

―作品の終盤、タンゴを踊るシーンがとても心に残ります。

 タンゴのシーンは、介護する側の百合子が、介護される側である修治郎(橋爪功さん演じる父)から愛情をもらって、本来の父子関係を呼び起こすような…そんな側面もある場面なんですよね。
 どんな患者さんにも、尊重すべきそれまでのその人の人生がある。介護をしている側も、お世話をしていながらも、逆に要介護者に支えられて、愛をもらっている。そういう関係性を表したシーンだと思いますね。

―(取材に同席してくれた)愛犬の〝フランソワーズちゃん〞との関係性は?

 わたしが逆に癒されて、愛情をもらってますね。それこそ、百合子と修治郎みたいな感じ。事故で足にハンディキャップを負ったんですが、生死の瀬戸際で背骨の大手術を何度も乗り越えたり、とても頑張ってきたんですよ。食事は、やわらかいお肉でできたドッグフードにニンジンなどの野菜をまぜて、体調によって豚肉を入れるか、鶏肉を入れるか、毎日調整しています。

―食事といえば秋吉さんの特技は〝スピード料理〞ですが、コツは何ですか?

 〝情熱〞と、〝イメージ〞ですね(笑)。「早く食べたい!」という情熱をもって、「こう作ったら、こうなる」ってイメージしたら一気に作ってます。時間がかかると、自分がガマンできなくなっちゃうので(笑)。昨日は、鶏のむね肉を、お酒・一味・しょうが・にんにく・しょうゆなどで味付けしたおかずを作りましたよ。

―健康のために、日頃心がけていることは?

 新陳代謝をよくすることと、意識してよく歩くことですね。岩盤浴やサウナにときどき行ったり、ジムやヨガは週1回ほど行ってます。
 運動は昔から特にしていなかったんですが、ふいにショーウィンドウにうつった自分を見て「えっ、これがわたし?」と感じたことがあって…。ヨガを始めたのは、その頃からですね。 
たとえば夏の日は、ヨガに行く前は道を歩きながら、暑くてだるくて仕方ないんだけど、ヨガをやった後の帰り道は、不思議と暑さも心地よい南国の気候に感じられたり…。自分の心持ちが変わっていることに気づきがあります。

―最後に、読者へのメッセージをお願いします。

 今回の作品に主演して、介護と向き合うには、〝愛と理解と協力〞という根本的な問題を大切にしていかなければいけないことを、しみじみ感じました。
 介護は、社会のシステムの問題だけじゃなく、それに心をそわせて、フィジカルな問題にも目を向けていくときなのではないでしょうか。いい施設に入ればそれでいいという問題でもないと思うし、百合子も夫や家族が支えてくれなかったら、もっと泥沼だったと思います。
 介護の悩みはどんな人にでも訪れる可能性のほうが高くて、つらくても、だれを責めても仕方ないような問題。だからこそ、根本的な〝愛と理解と協力〞を大事にしていけたらいいと思います。



「わたし」の人生 ~我が命のタンゴ~
<ストーリー>主婦の百合子(秋吉久美子)は、長年の夢である大学教授への道を歩き始めようとしていた。しかし、元大学教授の父・修治郎(橋爪功)が痴漢行為で警察に保護されたことをきっかけに、父の“認知症”を知らされる―。「介護離職」をはじめとする介護問題を浮き彫りにし、介護のあり方と希望をえがいた感動の物語。
©2012「わたし」の人生 製作委員会

8月11日(土)、シネスイッチ銀座他にて全国公開
出演:秋吉久美子、橋爪功 、冴木杏奈 、松原智恵子ほか
配給:ファントム・フィルム

*老年医療専門の現役医師・和田秀樹が監督・原案
<和田秀樹監督コメント>「認知症の高齢者は全国で250万人、介護のために仕事をやめる“介護離職者”は全国で50万人以上いるとされています。今後、さらにそれが増え続けるなか、中高年の女性が“生きていく”ことの意味を、家族の意味を、老年精神科医の目から見つめ直して撮った、私の職業人生のすべてを投影した渾身の一作です。」