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健康コラム

歌手・エッセイスト
アグネス・チャン さん

1955年8月20日、香港生まれ。香港での歌手活動を経て、1972年「ひなげしの花」で日本デビュー。芸能活動のみでなく、ボランティア活動、文化活動にも積極的に参加する。1994年、米国・スタンフォード大学より教育学博士号を授与される。1998年、日本ユニセフ協会大使に就任。2008年、財団法人日本対がん協会初代「ほほえみ大使」に就任。同年、全国112ヵ所に及ぶコンサートツアー「世界へとどけ平和への歌声」を成功させ、第50回日本レコード大賞の特別賞を受賞。現在は芸能活動のほか、エッセイスト、目白大学教授(客員)、日本ユニセフ大使など世界を舞台に幅広く活躍中。
■オフィシャルサイト
http://www.agneschan.gr.jp/
■ブログ
http://ameblo.jp/agneschan/


歌手としてだけではなく、ボランティア活動、文化活動など、地球規模で活躍を続けるアグネス・チャンさん。そのパワーの源や、病気の経験を通して考える健康への思いを語ってくださいました。

3児の母親でもあるアグネスさん。食生活はどのようにされていますか?

中国には「食べ物は天と同じくらい大切である」という教えがあります。それに中国では、昔から母親が家族の様子を見て、それぞれの体質とその時々の体調に合わせて食事をつくるということが、ごく自然に行われているんです。私もそれを夫や子供たちに実践していますよ。

いわゆる薬膳料理ですね。

「薬膳」と聞くと手間がかかって大変だと思われがちですが、ほとんどがスーパーマーケットで買える食材で簡単につくれるんです。中国医学では人間の体質を大きく6つに分類して、それぞれの体質に合わせた料理を食べることで健康が保たれる、という考え方があります。私の夫は熱を体内にためやすく、むくみがちなので、キュウリ・ニンジン・ダイコン・ゴボウなどを使った料理で、体内の熱を静めて循環を良くするようにします。スープにすると、食材そのものが持つ効能が一番発揮できて身体に良いのでオススメですよ。

これまでに病気・入院をされたことはありますか?

2007年10月に乳がんの摘出手術を受けました。前月に、たまたま大きいコンサートの予定が延期になり、家でのんびりしていたときにしこりを見つけました。何となく胸に違和感があって、触ってみたんです。本当に小さなニキビのような感覚でした。手術後の放射線治療を経て、今はホルモン治療を続けています。初めは湿疹(しっしん)が出たり顔が腫れたり、関節が痛かったりと辛い時期もありましたが、1年半くらい経ったころから楽になってきました。私は幸いにも早期発見できて、しこりも本当に小さなものでしたが、これでも「0(ゼロ)期」ではなく「1期」だったんです。なので、触っても分からない段階の「0期」で見つけるのがベストです。治療ももっと楽なので、皆さんにはぜひ検診を受けるようにしていただきたいですね。

乳がんのことを記者会見で公表されました。

少しでも同じ病気の人たちの励みになればという願いを込めて、「胸はちょっぴり小さくなったけど、ハートは大きくなりました」というメッセージを送りました。乳がんのことを公にした後、たくさんの方からお見舞いの言葉やお手紙などをいただいて、こんなにも自分は愛されていたんだと感じました。元気なときは見過ごしていたかもしれない周りの人の優しさに気付くようになったんですね。自分のアンテナにスイッチが入って、心がひとまわり大きく強くなれたように感じました。人の心には絶対に美しい部分があって、それを信じるべきだと思っています。

病気を経験して心境に変化はありましたか?

生きているということは、本当にありがたいと心から思うようになりましたね。一日一日が貴重だと感じる分、「毎日、新しい自分が誕生している」と思っています。つまり「毎日が誕生日」、〝ハッピーバースデイ・トゥ・ミー〟です。なので、毎日本当に楽しいですね。そして、私が手術をした日は10月1日で「ピンクリボンの日(※)」。すごい偶然ですよね。これはもう、乳がんの早期発見・早期治療を訴えていくことが、私の使命なんじゃないかと思うようになりました。
※「ピンクリボン」とは、乳癌の撲滅、検診の早期受診を啓蒙・推進するために行われる 世界規模のキャンペーン、もしくはそのシンボル。

仕事への思いも一層強くなったそうですね。

命がある間に、できることはやっておきたいと考えています。夫から「焦るな」と言われてしまうくらい動き回っていますね。それから、優先順位がよく見えてきたように思います。「これは大事だからすぐにやらなくちゃ」とか「これは後回しで大丈夫」、「長生きできたらやろう」という風に、自然に物事の順番を考えるようになって、人生の見方が少し分かってきたような気がしています。コンサートや講演会では、「お客様を絶対に楽しませたい!」という気持ちもより強くなりました。皆さんを笑わせる〝鉄板ネタ〟をいくつも持っているんですよ。「笑い」も健康のモトですよね。来てくださった方には、たくさん笑って、時には感動の涙も流していただいてスッキリとした気分でお帰りいただきたい。お客様が心から楽しんでくださると、ステージにもその空気がよく伝わるんですよ。そんな日は、私も「免疫力100倍!」というくらいパワーがみなぎってきて、ますます元気になりますね。

最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

病気になると、あれもこれも「できなくなった」と考えてしまいそうですが、そうではなくて「できる」ことをぜひ見つけてほしいですね。昨日の自分はもういないんですから。「乳がん前のアグネス」はもういなくて、「乳がん後のアグネス」がいるだけ。だから、病気になったからこそ、自分は何ができるようになったんだろうと考えるようにしています。病気を経験したからこそ、新しくできるようになったことが必ずあると思います。皆さんも「できること」を見つけて前を向いて生きていっていただきたいですね。病気が人生を豊かにすることだってあると信じています。